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産地と出会う /Watanabe’s(徳島県 板野郡 上板町)

2022.12.2 up text & photo/池田敦  visual photo/東海林えいこ

ondoが注目する産地&作家さんと共に開催する企画〈産地と出会う〉シリーズ。
作品制作やプロダクト作りなど、全国各地の職人と作家との出会いによって、新しい価値を発信していく試みです。今回ご一緒する産地は〈徳島〉。徳島を代表する産業“藍染”の、藍の栽培・蒅(すくも)づくりから、全ての工程を一貫して行う藍染工房・Watanabe'sさんを訪ね、徳島県 板野郡上板町を訪れました。

産地と出会う /Watanabe’s(徳島県 板野郡 上板町)

日本で伝統的に行われてきた藍を用いた染色技法・藍染。

藍染とは、日本で伝統的に行われてきた藍を用いた染色技法。藍染に使われる藍とは、タデ科イヌタデ属の一年生植物で、別名は蓼藍(タデアイ)と呼ばれています。徳島県が日本では藍の一大産地です。
刈り取った藍の葉をこまかく刻み、茎と葉に分け、葉を天日干しで乾燥。大きなむしろに詰めて土間のある建物で保管します。その後水を打ち、攪拌すると葉の微生物が自然に発酵を始め、湯気が上がるほどになります。数日ごとに水をやり、混ぜ返し、寒ければむしろをかけ、およそ100日後、ていねいに休みなく世話をして、ようやく中間原料・蒅(すくも)が完成します。この蒅を染め液にするにはまず土中に埋められた染色槽に蒅、木灰汁、貝灰、麩を投入します。微生物が働きだし更に発酵し堆肥のような匂いがしてくると10日間ほどで完成。染め頃になると上部に泡が盛り上がり、染め時を知らせてくれます。これが「藍の花が咲く」と呼ばれる状態です。
こうしてできた藍液に糸や生地を浸し、その後、空気にさらすと色素が酸化。そして徐々に酸化が進み、藍色に発色していきます。この工程を何度も繰り返すことで、深い藍色に染め上げていきます。

藍の栽培から蒅づくりから、全ての工程を一貫して行うWatanabe'sさん。

Watanabeʼsさんは、阿波藍の産地として知られる徳島県上板町に工房を構え、藍の栽培・染料となる蒅(すくも)作り・染色・製作を一貫して行っています。日本の伝統技法 ’’天然灰汁発酵建て’’からなる藍色は、深みのある冴えた色合いが美しく、色移りしにくいという特徴を持っています。その藍を「暮らしに寄り添う色」として、人々の生活に馴染んでいくものづくりを考え、国内外で幅広く活動を行っています。
ondoは、何より暮らしの中で使われることを大切に考えていること、また、すべての工程で藍の一葉一葉が生まれもったそれぞれの藍色を余すことなく引き出し、磨き上げることを目指すWatanabeʼsさんの真摯な姿勢に共感し、今回ぜひご一緒させていただきたいと思いました。
今後、藍染でのオリジナルプロダクトの制作や、イラストレーター・作家さんとの作品作りへの展開など、藍の特性を活かし、より感性に届くようなクリエイティブ作りに繋げていきたいと考えています。

  • 産地と出会う /Watanabe’s(徳島県 板野郡 上板町)
    板野郡上板町にあるWatanabe’sさん。伝統技術を研究しながら、地元に根付いた工房作りを目指されています。
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    蓼藍(たであい)の乾燥葉。この乾燥葉をおよそ100日間休みなく世話をして、発酵させて中間原料・「蒅(すくも)」が完成します。
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    ベニヤ板を染色液につけて染めていただいています。素材はもちろん、気候気温・湿度などによっても染まり方が違うそう。
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    染色液から取り出したベニヤ板。空気に触れることで成分が酸化し、徐々に藍色に発色。この工程を繰り返しイメージする色味に近づけます。

今回の作品作りについて。

今回の企画では、奥見伊代さん・千海博美さんのお二人のイラストレーターさんに、藍染を使った作品作りにチャレンジしていただきました。
まず作品作りに向け、ondoの池田が、Watanabe’sさんを訪問。そこで藍染の技術なレクチャーを受け、それを元に千海さん&奥見さんそれぞれと素材やイメージなど表現面での相談を重ねました。今まで経験したことのない藍染素材での作品制作にあたり、藍染めの奥行きある表現から作品のモチーフやイメージを広げてみたいという、おふたりの意向を受け、様々な表現で藍染していただきました。

産地と出会う /Watanabe’s(徳島県 板野郡 上板町)

藍染と作家。コラボレーションによって生まれた作品たち。

針を鉛筆、糸を絵の具ととらえ、絵としての刺繍表現に取り組むイラストレーター・刺繍作家の奥見伊代さん。奥見さんは作品制作にあたり、普段から使っている麻・綿・ポリエステルの3種の布・綿糸を5階調の濃度に染め分けていただきました。藍染の刺繍糸や布は、制作段階で少し懸念していた引っかかる感覚などもなく、普段と変わらなかったとのこと。
版木へ着色して彫る手法で作品を制作するイラストレーター・千海博美さん。千海さんは、普段使っているベニヤ板を3種の染め方で表現。素材が染まるというより、素材表面にしっかりと定着する藍染の特徴と活かし、彫る事により木肌を見せて作品を表現していく千海さんの制作手法との相性も抜群です。

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    グラデーションで藍染した麻布。深みあるグラデーションを、奥見さんは海の表現に見立て作品表現。
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    濃淡5階調に分け藍染された綿糸を使い分けて、表現されています。
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    藍染したベニヤ板を、彫刻刀で彫り表現した千海さんの作品。上から下へのグラデーションを月明かりに見立てて作品表現。
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    藍染特有の奥行きある藍色と、彫りにより浮かび上がる木肌の表現。存在感抜群の表現に。
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    水中酸化中の綿糸。水の中にある少量の酸素で、ゆっくりと変色させ色味をコントロール。
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    濃淡5階調に分けて藍染された綿糸。ほのかな光沢と奥行きある色味が美しいです。
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    染色液をなじませながら、ベニヤ板についた不純物を取り除き、染めムラを少なくします。
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    一色染め・階調染め・波型染めなどの表現で藍染されたベニヤ板。蜜蝋を3度塗り、色の定着を強めて仕上げていただいてます。

ondo gallery(東京・清澄白河)にて展示開催。

今回、Watanabeʼsさんと取り組んだ藍染の作品は、ondo gallery(東京・清澄白河)で開催する、-産地と出会う-『徳島のモノづくり展』でご覧いただけます。その他、徳島を代表する産業・阿波和紙と作家さんのコラボレーションによって生まれた作品展示や、徳島のライフスタイルショップ・cue!さんに、コーディネートいただいた魅力溢れる徳島の商品やプロダクトを展示販売。ぜひお楽しみください。

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-展示開催-
EXHIBITION/産地と出会う
『徳島のモノづくり展』
11.25(金)-12.4(日) 12:00–19:00 ※28(火)・29(水) 休み
@ondo gallery 東京都江東区清澄2-6-12
https://ondo-info.net/creator/chikaihiromi/19455/

Watanabeʼs
渡邉健太を代表とし、上板町に藍染工房を構える「Watanabe’s」。藍の栽培から蒅(すくも)づくりから、全ての工程を一貫して行う。藍作りの歴史、伝統技術を研究しながら、より地元に根付いた工房作りを目指している。
→URL_ https://watanabezu.com/
→instagram_ @awatanabes_japan

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